黄金比研究所Golden Ratio Lab
2:1 運動と休息の比
もうひとつの最適比

10分のHIITは、なぜ2:1で組むのか ― 曲順まで設計したプレイリスト

タバタ型HIITの「20秒運動・10秒休息」は1996年の研究に由来します。秒の切り替えはタイマーに任せ、曲にはテンポの帯を担当させました。135 BPMの1曲で本番4分をほぼ覆う、3曲・9分42秒の設計です。

2026年10月6日文・黄金比研究所編集部

10分HIIT:時間 × BPM の設計図運動20秒:休息10秒=2:1 はタイマーで、テンポの帯はフェーズごとに曲で切り替えるウォームアップ本番(タバタ8ラウンド)クールダウン研究の「速いテンポ」帯 135〜140 BPM8090100110120130140150012345678910経過時間(分)BPM(目安)■20秒運動 □10秒休息 ×81. Houdini 117 BPM・3:062. 紅蓮華 135 BPM・3:593. Sunflower 90 BPM・2:38計 9:42図:黄金比研究所
横軸は経過時間、縦軸はBPM(目安)。帯はフェーズ、太線は各曲。本番の赤い棒はタバタ8ラウンドの20秒運動を示します。

この記事の要点

  • タバタ型HIITの比率は「運動20秒:休息10秒=2:1」。これを8回で4分です。原典は1996年の自転車エルゴメーター研究です。
  • 20秒と10秒の切り替えは曲では作れません。秒はタイマーに任せ、曲はフェーズごとのテンポの帯を担当させます。
  • 本番は研究で高強度時に好まれやすかった速いテンポ(135〜140 BPM)に合わせ、135 BPM・3分59秒の1曲で4分をほぼ覆います。

このシーンの比率

10分のHIITを、ウォームアップ・本番・クールダウンの3つに分けます。本番はタバタ型です。20秒動いて10秒休む。これを8回くり返します。

運動 20秒 : 休息 10秒 = 2 : 11ラウンド30秒 × 8ラウンド = 240秒(4分)

今回のプレイリストは3曲で、合計9分42秒です(秒単位で足した実測値。表の長さは四捨五入のため、足すと1秒ずれます)。時間の配分はウォームアップ約3分、本番約4分、クールダウン約2分40秒。割合にすると32 : 41 : 27で、真ん中の本番がいちばん長くなります。

なぜこの配分か

2:1の出どころは、田畑泉氏らが1996年に発表した研究です。被験者は自転車エルゴメーターで、最大酸素摂取量の約170%という非常に高い強度の20秒運動を、10秒の休息をはさんで7〜8回行いました。これを週5日・6週間続けた結果、最大酸素摂取量と無酸素性の能力の両方が伸びたと報告されています。

2019年のレビューでは、タバタ法を下敷きにした研究30本のうち、原典どおりの方法を用いたと明記したものは5本だけでした。自重トレーニングで行う家庭の「タバタ」は、原典を下敷きにした変形版と考えるのが正確です。

では音楽は何を受け持つのか。運動と曲のテンポの関係は、英国のカラギオルギス氏らが調べています。2006年のトレッドミル歩行の研究では、強度が高い条件ほど速いテンポの曲が好まれる傾向が見られました。2011年の研究では、自転車こぎの強度が上がるにつれ、135〜140 BPMの「速い」曲が、中くらい(115〜120)やとても速い(155〜160)曲と比べて好まれるようになりました。95〜100 BPMの遅い曲は、どの強度でも好まれませんでした。ただし、どちらもタバタほどの超高強度で調べたものではありません。

ただし、音楽で「きつさ」がいつでも軽くなるわけではありません。同氏らの総説は、無酸素性の閾値を超えるような高強度では、主観的なきつさを下げる効果は見られにくいとまとめています。一方で、気分や意欲の面では役に立つ可能性があるとされます。今回の曲順は、その「気分の後押し」を狙ったものです。

プレイリスト(曲順)

#曲名アーティスト長さBPM(目安)フェーズ・役割
1HoudiniDua Lipa3:06117ウォームアップ(0:00〜3:06)
2紅蓮華LiSA3:59135本番(3:06〜7:04)
3Sunflower (Spider-Man: Into the Spider-Verse)Post Malone & Swae Lee2:3890クールダウン(7:04〜9:42)

BPMは公開データベース(songbpm.com、tunebat.com など)の値で、目安です。洋楽2曲と邦楽1曲。定番2曲に、2023年の新しめの1曲を混ぜました。

ウォームアップ(0:00〜3:06)

本番:タバタ8ラウンド(3:06〜7:04)

クールダウン(7:04〜9:42)

曲順の設計図

1曲目「Houdini」は117 BPM。研究でいう「中くらい」(115〜120 BPM)の帯です。足踏みや軽いスクワットで体を温めながら、2曲目へのテンポの段差を小さくしておきます。

2曲目「紅蓮華」は135 BPMで、長さは3分59秒。タバタの4分にほぼ重なります。曲が始まったらタイマーを押す、という使い方を想定しています。20秒は45拍、10秒は22.5拍にあたります。拍と切り替えは一致しないので、合図はタイマーの音で取ってください。

3曲目「Sunflower」は約90 BPM。運動中には好まれにくい遅めのテンポですが、ここでは呼吸を落ち着かせる時間として、あえて置いています。これは黄金比研究所の設計上の選択です。

自分の曲で組むなら

  • 本番の曲:135〜140 BPMで、長さ4分前後。短い曲なら2分前後を2曲つなぎます。
  • ウォームアップ:115〜125 BPMで約3分。本番との差を20 BPM以内にすると、切り替えがなめらかです。
  • クールダウン:85〜100 BPMで2〜3分。
  • 合計は9分30秒〜10分30秒に収めます。2:1の秒数は曲ではなく、必ずタイマーで管理します。
  • BPMは半分や倍で表示されることがあります(例:70と140)。体感で拍を数えて確かめてください。
HIITは強度の高い運動です。体調に合わせて強度や回数を調整し、持病のある方や久しぶりに運動する方は、無理をせず医師などに相談してください。

黄金比研究所の見立て

このシーンの比率は黄金比ではなく、原典の研究が決めた2 : 1です。20秒と10秒は、曲の構成でもテンポでも作れません。だから役割を分けました。秒はタイマー、テンポの帯は曲です。音楽にできるのは、きつさを消すことではありません。4分間を「あと1曲」という単位に変えることです。1曲の長さとタバタの4分がほぼ同じ、という偶然を設計に生かしました。

出典・参考資料

  1. Effects of moderate-intensity endurance and high-intensity intermittent training on anaerobic capacity and VO2max (Med Sci Sports Exerc 1996;28(10):1327-30)Tabata I, et al. / PubMed
  2. Tabata protocol: a review of its application, variations and outcomes (Clin Physiol Funct Imaging 2019;39(1):1-8)Viana RB, et al. / PubMed
  3. Revisiting the relationship between exercise heart rate and music tempo preference (Res Q Exerc Sport 2011;82(2):274-84)Karageorghis CI, et al. / PubMed
  4. Relationship between exercise heart rate and music tempo preference (Res Q Exerc Sport 2006;77(2):240-50)Karageorghis CI, Jones L, Low DC / ERIC
  5. Music in the exercise domain: a review and synthesis (Part I) (Int Rev Sport Exerc Psychol 2012;5(1):44-66)Karageorghis CI, Priest DL / PubMed
  6. Key & BPM: 紅蓮華 / Gurenge — LiSASongBPM
  7. Key & BPM: Houdini — Dua LipaSongBPM
  8. Key & BPM: Sunflower — Post Malone, Swae LeeTunebat