黄金比研究所Golden Ratio Lab
1:2 セットと休息の時間比
もうひとつの最適比

45分の筋トレは、なぜ1:2で組むのか ― 休む時間まで曲でつないだプレイリスト

筋トレの時間の大半は、セットではなく休息です。10回で約40秒のセットに、指針が勧め、研究結果とも合う1〜2分の休息を合わせると、セットと休息はおよそ1:2。この2分の周期を前提に、45分を5つのブロックに分けて12曲を並べました。

2026年10月27日文・黄金比研究所編集部

45分の筋トレ:セット40秒:休息80秒(1:2)と曲のテンポ 準備 下半身 上半身 体幹 整理 80 90 100 110 120 130 140 0 6 12 18 24 30 36 42 48 経過時間(分) テンポ(BPM目安) 1 110 2 115 3 116 4 118 5 125 6 125 7 126 8 128 9 127 10 130 11 90 12 95 下の帯:濃=セット40秒、淡=休息80秒(2分×15) 終了 45:50 図:黄金比研究所
45分の筋トレプレイリスト。横軸は経過時間、縦軸は曲のテンポ(BPM目安)。棒の上下の数字は曲順とBPM。軸の下の帯は、セット40秒(濃)と休息80秒(淡)の2分周期15回。

この記事の要点

  • 米国スポーツ医学会(ACSM)の指針は、初級〜中級者の筋肥大目的のトレーニングで、セット間の休息を1〜2分としています。2024年のメタ分析では、60秒を超える休息にわずかな利点が示唆され、90秒を超えると差はほとんど見られませんでした。
  • 10回で約40秒のセットに80秒の休息を合わせると、1周期は2分、セットと休息は1:2です。主運動は2分×15セットで約30分になります。
  • 音楽は大半が休息中に流れます。好きな曲を聴くとベンチプレスの回数が増えたという研究があり、テンポよりまず「好きな曲」を選ぶのがおすすめです。総時間は45:50です。

このシーンの比率

今回の比率は、1セットの運動時間と、次のセットまでの休息時間の比です。筋トレは、動いている時間より休んでいる時間のほうが長い運動です。

たとえば、1回3〜4秒のゆっくりめの動作で10回行うと、1セットは30〜40秒です。ここに80秒の休息を加えると、2分で1周期になります。

セット 40秒 : 休息 80秒 = 1 : 22分で1セット。休息の80秒は、指針の「1〜2分」の範囲に入ります。

45分の配分は、ウォームアップ7:17・主運動29:50・クールダウン8:42です。主運動の約30分を2分の周期で回すと、15セットになります。5種目を3セットずつ行う計算です。

同じ連載の10分のHIITは、運動20秒:休息10秒の2:1でした。筋トレはその逆で、休息が運動の2倍あります。

なぜこの配分か

休息の長さには指針があります。ACSMが2009年に出した立場声明は、初級者と中級者の筋肥大を目的とするプログラムで、セット間の休息を1〜2分とすることを勧めています。同じ声明は、70〜85%の負荷で8〜12回を1〜3セット行う方法も示しています。

一方、重い負荷で行う大きな種目(スクワットやベンチプレスなど)では、少なくとも2〜3分の休息を勧めています。次のセットでも重い負荷を扱えるようにするためです。今回は自重やダンベルで行う中くらいの負荷を想定し、1〜2分の範囲から80秒を選びました。

2024年には、休息の長さと筋肉の増え方を比べた9件の研究をまとめたメタ分析(複数の研究を統合して分析する方法)が出ています。60秒を超える休息にはわずかな利点が示唆されましたが、90秒を超えると、はっきりした差は見られませんでした。80秒は、短すぎず、待ちすぎない位置にあります。

では音楽は何をするのか。2021年の研究では、筋トレ経験のある男性12人が、最大挙上重量の75%でベンチプレスを限界まで行いました。好きな曲を聴いたときは、好きでない曲のときより回数が多く、バーの速度も高く、やる気の評価も上がりました。

音楽と筋トレの研究は、結果がそろっていません。2022年の総説は、曲の性質や、本人が選んだ曲か研究者が選んだ曲かによって結果が分かれると整理しています。この記事のBPMは、効果を約束する数字ではなく、曲を並べるための目安です。

プレイリスト(曲順)

邦楽5曲・洋楽とK-POP7曲、1999年の曲から2023年の曲まで混ぜました。主運動のテンポは116〜130に収め、休息中も気分が下がりにくい曲を選んでいます。

#曲名アーティスト長さBPM(目安)フェーズ・役割
1ButterBTS2:44110ウォームアップ(0:00〜)
2ケセラセラMrs. GREEN APPLE4:33115ウォームアップ(2:44〜)
3Stronger (What Doesn't Kill You)ケリー・クラークソン3:42116主運動① 下半身(7:17〜)
4HabitSEKAI NO OWARI4:13118主運動① 下半身(10:59〜)
5Believerイマジン・ドラゴンズ3:24125主運動① 下半身(15:13〜)
6SevenJUNG KOOK & Latto3:04125主運動② 上半身(18:37〜)
7Titanium (feat. Sia)デヴィッド・ゲッタ4:05126主運動② 上半身(21:41〜)
8Shut Up and Danceウォーク・ザ・ムーン3:19128主運動② 上半身(25:46〜)
9ultra soulB'z3:41127主運動③ 体幹・仕上げ(29:05〜)
10夜に駆けるYOASOBI4:21130主運動③ 体幹・仕上げ(32:46〜)
11First Love宇多田ヒカル4:1990クールダウン(37:07〜)
12Perfectエド・シーラン4:2395クールダウン(41:26〜)

総時間は45:50(45分の+1.8%)です。BPMは公開データベースの値で、目安です。「First Love」はデータベース上は180ですが、体感に近い半分の90としています。各曲の長さは秒未満を四捨五入しています。

ウォームアップ

主運動① 下半身

主運動② 上半身

主運動③ 体幹・仕上げ

クールダウン

曲順の設計図

1・2曲目の「Butter」(110)と「ケセラセラ」(115)は、足踏みや肩回しなどで体を温める時間です。テンポは主運動より一段低くしました。

3〜5曲目は下半身のブロックです。「Stronger」(116)から「Believer」(125)へ、少しずつテンポを上げます。スクワットとランジを3セットずつ、2分ごとに回す想定です。

6〜8曲目は上半身のブロックです。「Seven」(125)、「Titanium」(126)、「Shut Up and Dance」(128)と、テンポの差を3以内にそろえました。曲が変わっても、休息中の気分が途切れにくい並びです。

9・10曲目の「ultra soul」(127)と「夜に駆ける」(130)は、体幹と仕上げのブロックです。最後のブロックの後半に、いちばん速い曲を置きました。

11・12曲目の「First Love」(体感90)と「Perfect」(95)で一気に落とし、静的ストレッチと片付けに使います。

曲の切れ目とセットの切れ目は合わせていません。2分の周期と3〜4分の曲は、もともとそろわないからです。ブロックの境目は曲と1〜2分ずれますが、主運動の終わり(約37分)はおおむねそろいます。セットの合図には、曲ではなくタイマーを使ってください。

自分の曲で組むなら

  • 総時間は45分の±5%、つまり約43〜47分に収めます。
  • ウォームアップは105〜115 BPM、主運動は115〜130、クールダウンは85〜100を目安にします。主運動の中では、曲どうしのテンポ差を小さくすると、休息中の気分がそろいやすくなります。
  • 配分はセット:休息=1:2が基本です。重い負荷で少ない回数を行う日は休息を2〜3分(1:3〜1:4.5)に延ばし、そのぶん種目かセットを減らすか、主運動に1曲足してください。
  • 好きな曲で回数が増えたという研究もあります。この12曲は並べ方の見本として使い、好きな曲に差し替えてください。
  • 体調に合わせて、無理のない負荷と回数で行ってください。痛みがあるときは中止してください。

黄金比研究所の見立て

筋トレの比率は、黄金比ではなく、運動と休息の時間の比でした。1:2という数字は、指針が示す休息の幅と、10回で約40秒というセットの長さを組み合わせて研究所が置いたものです。休息を1〜2分の幅でどこに置くかで、比は1:1.5から1:3まで動きます。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」は、成人に筋力トレーニングを週2〜3日行うことを勧めています。週2回この45分を回すなら、1回のプレイリストを固定しておくと、始める合図にもなります。ただし、曲順で筋肉が増えると言える研究はありません。ここでの設計は、休息の時間を気持ちよく待つための提案です。

出典・参考資料

  1. Progression models in resistance training for healthy adults (ACSM Position Stand, Med Sci Sports Exerc 2009;41(3):687-708)Ratamess NA, et al. / American College of Sports Medicine
  2. Give it a rest: a systematic review with Bayesian meta-analysis on the effect of inter-set rest interval duration on muscle hypertrophy (Front Sports Act Living 2024;6:1429789)Singer A, ... Schoenfeld BJ / PMC
  3. Effects of Preferred vs. Nonpreferred Music on Resistance Exercise Performance (J Strength Cond Res 2021;35(6):1650-1655)Ballmann CG, et al. / PubMed
  4. The effects of music on cardiorespiratory endurance and muscular fitness in recreationally active individuals: a narrative review (PeerJ 2022;10:e13332)Greco F, et al. / PMC
  5. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023厚生労働省
  6. Key & BPM: Butter — BTSSongBPM
  7. Key & BPM: ケセラセラ — Mrs. GREEN APPLESongBPM
  8. Key & BPM: Stronger (What Doesn't Kill You) — ケリー・クラークソンSongBPM
  9. Key & BPM: Habit — SEKAI NO OWARISongBPM
  10. Key & BPM: Believer — イマジン・ドラゴンズSongBPM
  11. Key & BPM: Seven — JUNG KOOK & LattoSongBPM
  12. Key & BPM: Titanium (feat. Sia) — デヴィッド・ゲッタSongBPM
  13. Key & BPM: Shut Up and Dance — ウォーク・ザ・ムーンSongBPM
  14. Key & BPM: ultra soul — B'zSongBPM
  15. Key & BPM: 夜に駆ける — YOASOBISongBPM
  16. Key & BPM: First Love — 宇多田ヒカルSongBPM
  17. Key & BPM: Perfect — エド・シーランSongBPM